
土曜の朝、カレンダーの赤丸
土曜日の朝、佐和子は冷蔵庫に貼ったカレンダーを見て、小さくうなずきました。赤いペンで丸をつけた今日は、近所のスーパーのポイント5倍の日です。
「洗剤とお米と、あとはしょうゆかな」
メモ帳に書きながら、彼女はなんだか楽しくなってきます。どうせ買うものなら、ポイントが多くつく日に買いたい。それは彼女にとって、ささやかな腕の見せどころでした。
ソファで新聞を読んでいた夫の健太が顔を上げます。

「今日も行くの?先週も何か言ってなかった?」
「先週はドラッグストアの日。今日はスーパーの日なの」
健太は「へえ」とだけ言って、また新聞に目を戻しました。
エコバッグを三枚たたんでかばんに入れながら、佐和子はふと思います。メモには三つしか書いていないのに、どうして三枚も持っていくのか、自分でもよくわかりません。
カートの中の「ついで」
スーパーは、いつもより少しにぎやかでした。
入口近くには洗剤が山のように積まれ、その隣にはティッシュの箱。佐和子は迷わず洗剤をカートに入れ、ついでにティッシュもひとつ載せました。
「ティッシュ、メモにあった?」
荷物持ちとしてついてきた健太が聞きます。
「ないけど、今日は5倍だから。いつか使うし」
缶詰、パスタ、レトルトのカレー。棚を曲がるたびに、カートは少しずつ重くなっていきます。

「パスタって、この前も買ってなかったっけ」
「あれはロングで、これはショート」
健太は何か言いかけて、やめました。その代わり、カートを押す手に少し力を入れます。
レジで告げられた合計は、予定のほぼ倍でした。それでも佐和子は、レシートの下に印字されたポイントを見て、満足そうに笑います。
健太はその横顔を見ながら、黙ってエコバッグを三枚とも広げました。
棚の奥の先客たち
家に戻り、佐和子が台所の棚を開けた瞬間、手が止まりました。
奥には、未開封のパスタが四袋。レトルトのカレーも、同じ味が並んでいます。どれも、先月のポイント5倍の日に買ったものでした。

「……ショートも、あったね」
後ろからのぞいた健太が、遠慮がちに言います。佐和子は返す言葉がなく、パスタの袋をそっと奥へ押し込みました。
ところが、洗面所に洗剤をしまいに行った健太が、なかなか戻ってきません。見に行くと、彼は収納の扉の前で立ち尽くしていました。
中には、詰め替え用の洗剤がぎっしり。
「それ、私じゃないよ」
「……先週、ドラッグストアの日だって聞いたから。喜ぶかと思って」
二人はしばらく黙って、洗剤の列を見つめました。
その夜、佐和子はカレンダーの次の赤丸の横に、小さく「棚を見てから」と書き足しました。健太はその下に、もうひとつ「相談してから」と書きました。
※この物語は創作です。登場人物・出来事はすべて架空のものです。
※この記事のイラストは、AI で作成したイメージです。実在の人物・場所ではありません。
制作について
編集部が AI を使って作成した記事です。登場人物・出来事はすべて創作です。




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